平成26年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(夏期)のお知らせ
【夏期テーマ】 医薬品開発と医療倫理を考える
医薬品候補物質が「医薬品」として人々の手元に届くまでには長い歳月と労力を要し、開発の最終段階に行われる臨床試験においてその効果と安全性が確かめられます。また、それが市販された後にも、実際の医療の場で使われた際の安全性情報の収集などが継続されます。医薬品の開発というものは患者さんの協力があって成り立つものであり、医学研究においては倫理性の確保が求められます。
本セミナーでは、薬剤師として知っておくべき医薬品開発と医療倫理を巡る話題について、幅広い視点から解説いただき、基礎的かつ最新の知識を身につけていただきます。日々接する「医薬品」というものを新たな視点で捉える機会を提供したいと思います。
第1回:平成26年8月2日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「医薬品の臨床試験と倫理」
講義内容・講師 |
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講義1: ランダム化比較試験の倫理(14:30~16:00) 講師: 田代 志門先生(昭和大学研究推進室) 医薬品の臨床試験において「ゴールド・スタンダード」とされるランダム化比較試験(RCT)の倫理的問題を取りあげます。ランダム化比較試験にはいくつかの方法論的特徴がありますが、特に倫理面での配慮が必要になるのが「ランダム化」と「プラセボ」という2つの要素です。講義では英語圏の議論状況と国際的なガイドラインの動向を概説したうえで、RCTの実施に際して考慮すべきポイントを整理して示します。 |
講義2: 国際共同研究の倫理(16:15~17:45) 講師: 田代 志門先生(昭和大学研究推進室) 国際共同研究の倫理、特に開発途上国で実施される臨床試験の倫理的問題を取りあげます。1990年代以降、製薬企業は必ずしも将来的にマーケットとなる国や地域で臨床試験を実施するとは限らなくなってきましたが、こうした傾向に対しては、医療格差を利用した搾取ではないのか、という批判もあります。講義では、英語圏の議論状況と国際的なガイドラインの動向を概説したうえで、こうした議論が日本国内に与える影響について考えます。 |
第2回:平成26年8月30日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「医療倫理に閉じこもらない薬剤師になろう」
講義内容・講師 |
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講義1: 脱、狭量な医療倫理(14:30~16:00) 講師: 小野 俊介先生(東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座 准教授) 倫理というと短絡的にヒポクラテスの誓い、ヘルシンキ宣言、GCPなどを思い浮かべ、また、それらしか思い浮かべることができない医薬品関係者が多いのは本当に困ったことです。それらは社会に生きる一人一人が考えるべき倫理の一側面でしかありません。講義の前半では、いわゆる政治哲学、経済倫理も当然に視野に入れた医薬品をめぐる倫理の考え方を具体的に紹介します。 |
講義2: 今の医薬品開発で社会は幸せか(16:15~17:45) 講師: 小野 俊介先生(東京大学大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座 准教授) グローバル化と称する流れに翻弄される日本・日本人の姿をさまざまなデータから明らかにしつつ、その姿をどう捉えることができるのかを講義1で学んだ倫理の諸規範に照らして解説します。グローバル化と称する流れによって社会では幸せになる人々と不幸になる人々が必ず生まれますが、それを正当化あるいは批判する理論にはどのようなものがあるかを学びます。「ワタシ的には良いと思う」的な倫理からの卒業を目指しましょう。実例で説明しますからご安心ください。 |
- 主 催: 北里大学薬学部生涯学習センター
- 共 催: 北里大学薬友会・(公財)日本薬剤師研修センター
- 場 所: 第1回 白金キャンパス 1号館1202講義室
: 第2回 白金キャンパス 1号館1501大講義室 - 定 員: 各回とも150名
(当日参加も可能ですが、定員になり次第締切りますので、なるべく事前にお申込みください。) - 対 象: 本学および他薬系大学の卒業生
- 受講料: 各回とも2,000円
- 認定単位: 日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
- 申込締切: 第1回 平成26年7月28日(月)
: 第2回 平成26年8月25日(月)
申込方法
お申し込みは終了致しました。