北里大学薬友会

平成25年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(前期)のお知らせ
 【前期テーマ】 漢方臨床の基礎について学ぶ

 漢方は、日本の伝統文化であると同時に、現代医療において欠かすことのできない保険適用可能な医療の1つで、特に西洋薬の効果が十分でない慢性疾患の改善や、半健康状態から回復などの効果が期待されています。西洋薬も漢方薬も元を辿れば生薬(天然薬用資源物)ですが、両者のベクトルは全く異なります。現代に伝わる漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることで、毒性を軽減しつつ、薬効を強めることに成功した優秀な処方であると言えます。
 しかし、一方で、不適切な使用による誤治や副作用の危険性も少なくありません。漢方をうまく活用するためには、その有効性だけでなく危険性についても把握すると共に、伝統的な漢方医学の考え方に基づいた漢方薬の運用についてもしっかりと理解する必要があります。
 本セミナーでは、医師と薬剤師が短期集中セミナー形式により、漢方の臨床に必要な基礎知識を概説いたします。漢方の学習に是非ご活用下さい。

第1回:平成25年5月18日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「漢方臨床の基礎について学ぶ 第1回」

講義内容・講師
講義1:産婦人科領域の漢方
 講師: 森 裕紀子 先生(北里大学東洋医学総合研究所)
 

冷え症、月経痛、月経前症候群、更年期障害など女性特有な疾患に漢方薬は有効である。当講義は漢方の初回であるので日本漢方の基本概念の気血水に関して簡単に説明したのち、産婦人科領域で頻用される婦人科三大生薬(当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散)と冷え症などに用いられる当帰四逆加呉茱萸生姜湯、便秘や精神疾患などにも使う桃核承気湯の5処方を中心に講義する。また妊婦に対する服薬指導のポイントなども説明する。

講義2:漢方薬の服薬指導
 講師:緒方 千秋 先生 (北里大学東洋医学総合研究所)
 

漢方薬の服薬指導は添付文書にある内容だけで十分でしょうか。漢方治療においては、特定の疾患と漢方薬の関係が1対1ではない。また異なった疾患に同じ漢方薬を用いることもある。患者に薬剤情報を提供する際、患者の訴えや疾患を考慮して説明を変えることも必要である。この生涯学習を機会に患者情報を用いた漢方薬の服薬指導について考えてみましょう。今回学んだことを臨床の現場で実践をして頂きたい。

第2回:平成25年6月15日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「漢方臨床の基礎について学ぶ 第2回」

講義内容・講師
講義1:神経内科領域の漢方の臨床
 講師:川鍋 伊晃 先生 (北里大学東洋医学総合研究所)
 

神経内科領域の疾病に対するアプローチは、技術の進歩に伴い薬物療法はじめ多くの西洋医学的な治療選択肢が生まれた一方で、効果や副作用の観点からは未だ十分ではなく、治療に難渋する事も多い。一方漢方治療に関しては、その有効性について今後さらなる評価を要するものの、西洋医学的治療の補完的役割を果たす機会は少なくない。日常診療で遭遇する頻度が比較的高い神経疾患を中心に、漢方治療の有効性に関して紹介する。

講義2: 生薬、その品質及び漢方薬における配合意義
 講師:坂田 幸治 先生 (北里大学東洋医学総合研究所)
 

生薬は『日本薬局方』等でその規格基準が定められている。しかし、品質の優劣は明記されてはいない。品質を左右するものの一つに、生産の違いがある。生薬の生産方法を紹介し、生薬の品質について説明する。また、漢方薬は漢方医学的理論に基づき生薬が構成される。その配合には現代科学的な裏付けが証明されつつある。今回の学習講義では、生薬の基礎知識及び漢方薬における生薬の配合意義について説明する。

第3回:平成25年7月20日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「漢方臨床の基礎について学ぶ 第3回」

講義内容・講師
講義1:小児科領域の漢方
 講師:堀田 広満 先生 (北里大学東洋医学総合研究所)
 

漢方薬が有効な小児疾患は少なくない。特に神経・免疫・内分泌連関の領域に多く、神経系は夜尿症、チック、夜驚症、脳性麻痺、起立性調節障害、心身症など、免疫系は腎炎・ネフローゼ症候群、乳児肛門周囲膿瘍、反復性中耳炎、アトピー性皮膚炎を代表とするアレルギー性疾患など、内分泌系はいわゆる虚弱児、成長障害などが挙げられる。 小児科領域の特殊性、注意すべき生薬、処方量、服薬指導、母子同服についても概説する。

講義2:漢方をより活用するために
 講師:小林 義典 先生 (北里大学薬学部 生薬学教室 教授)
 

漢方を理解し活用できるようになるための道程は遠い。まずは漢方の歴史の中で現代の日本漢方を理解し、その上で(保険上の)適応、用量・用法、先達の口訣、治験、原典の条文、構成生薬(薬能・副作用)などを学習し、相互に関連付けながら理解を深める過程を繰り返し行う必要がある。本講演では、漢方を学習する上で役立つヒントを中心に、有用な参考図書、web資料、iphoneアプリなどの活用についても紹介したい。

  1. 主 催: 北里大学薬学部生涯学習センター
  2. 共 催: 北里大学薬友会・(公財)日本薬剤師研修センター
  3. 場 所: 第1、2回 白金キャンパス 1号館1501大講義室
          第3回 白金キャンパス コンベンションホール
  4. 定 員: 各回とも300名
         (当日参加も可能ですが、定員になり次第締切りますので、なるべく事前にお申込みください。)
  5. 対 象: 本学および他薬系大学の卒業生
  6. 受講料: 各回とも2,000円
  7. 認定単位:日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
  8. 申込締切:第1回 平成25年5月13日(月)
           第2回 平成25年6月10日(月)
           第3回 平成25年7月15日(月)

申込方法

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