2019年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(後期)お知らせ
第1回:RMPの基礎と実践~RMPを活用しよう
日 程:2020年1月18日(土) 14:30~17:45
RMPをご存知でしょうか?RMPとは「医薬品リスク管理計画」(Risk Management Plan)を意味し、個々の医薬品ごとに作成される、市販後に医薬品のリスクを適正に管理するための方策が書かれた計画書のことです。RMPが作成・公表され始めてから6年余りが経ちますが、医療現場からは「どのように使ったらよいの?」、「添付文書とは何が違うの?」といった声も聞かれます。本セミナーでは、医療従事者によるRMPのより積極的な活用を目指して、RMPに関する基礎と実践に関する講義を行います。
講義内容・講師 |
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講義1:「医薬品情報を臨床現場でどう扱うか~RMP見たことありますか?~」 (14:30~16:00) 講師: 若林 進 先生 (杏林大学医学部付属病院 薬剤部 薬剤科長補佐) DI室では、様々な医薬品情報を日々収集し提供し活用しています。PMDAのホームページには、RMP、医薬品インタビューフォーム、患者向医薬品ガイド、くすりのしおり、重篤副作用疾患別対応マニュアル、審査報告書など多くの情報が掲載されています。臨床現場で発生する様々な疑問に対して、添付文書だけでなく、これらの医薬品情報を活用して解決する必要があります。院内で使用している医薬品に対して、安全性情報などが発出された場合、その情報を院内に対して周知させることもDI室の大切な役割です。医薬品・医療機器等安全性情報やブルーレター、回収情報など、多くの情報がPMDAメディナビによって、能動的に配信されるようになっています。DI室はこれらの情報を受け、院内での医薬品の使用状況を確認し、それに基づいて個別に情報提供することも求められています。今回はRMPを中心にPMDAホームページに掲載される情報源の活用について紹介していきます。 |
講義2:「RMPの医療現場への効果的な浸透を目指して」 (16:15~17:45) 講師: 成川 衛 先生 (北里大学薬学部 教授) RMPには、その医薬品の重要なリスクが安全性検討事項として列記されるとともに、市販後に行われる安全性監視のための活動(使用成績調査など)と、リスクを最小化するための活動の計画が示されています。安全性検討事項のセクションには、それを重要なリスクとして取り上げた背景・理由が記されており、添付文書からは知ることのできない新薬の安全性プロファイルの重要点を把握できます。多くの新薬で作成される医療従事者/患者向けの情報資材がリスクの低減に役立っている面がある一方、十分には利用されていない、あるいは情報過多の状態を引き起こしているといった指摘もあります。本講義では、RMPの医療の場への浸透とともに見えてきた課題を交えて、今後これをより効果的に実践していくための方策について解説し考えてみたいと思います。 |
第2回:アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)と薬剤師の関わり
日 程:2020年3月7日(土) 14:30~17:45
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取り組みのことです。昨年11月には厚生労働省が「人生会議」と愛称を定め、一般市民にも啓発されるようになってきました。地域医療に係わる私たち薬剤師もACPについての理解を深め、取り組んでいくことが求められています。今回のセミナーではACPについて基本的なことを学び、患者・家族にとって「最善の選択」をするためのケアについて考えてみたいと思います。
講義内容・講師 |
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講義1:「患者の意思決定を支援し、医療現場で生かすため」 (14:30~16:00) 講師: 鈴木 央 先生 (鈴木内科医院 院長) 近年、人生の最終段階における意思決定プロセスのガイドラインが改訂され、診療報酬の要件となり、チームとしてアドバンス・ケア・プランニング(ACP:愛称「人生会議」)を支援することが重要視されています。しかし、このアドバンス・ケア・プランニングを行う上では、医療倫理を避けて通ることができず、医学的最善が、必ずしも患者の最善ではない場合も生じえるのです。さらに、患者に人生の最終段階にきていることを伝えることも簡単なことではありません。そこには必ず患者にとってダメージになる可能性が含まれています。ダメージを最小限にして、患者にそのことを伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。〝SPIKES“という技法を用いた、筆者の臨床上の工夫、どのように患者を支援し意思決定を引き出していくのか、参加者とともに考えてみたいと思います。 |
講義2:「薬剤師が関わるACP」 (16:15~17:45) 講師: 高橋 眞生 先生 (カネマタ薬局代表取締役) 在宅訪問において薬剤師が関わることで、適切な薬剤の供給と服薬コンプライアンスを向上することが可能となります。また近年の医療制度の変革から、急性期の患者の早期退院を求められ、様々な医療機器や材料を使用しながらの在宅療養がおこなわれています。いままで病院でしか供給できなかった機器や薬剤が、在宅で使用されることも徐々に増え、その供給・取扱い・メンテナンスも薬剤師の業務の一部となっており、病院薬剤師とも連携して在宅訪問を実施しています。 いままで多くの在宅患者と関わってきましたが、自宅で最後まですごすということを拒否した患者には、出会ったことがありません。終末期にどうしたいかをご本人がお元気なうちに、家族を交えて話し合っておくことは有効で、在宅医療に関わるもの(医師・看護師・ケアマネージャーなど)が共通認識を持つことができます。ACPは新しい言葉ですが、どのように在宅で最後まで過ごしていただくか、共通の認識をもってやってきたことをACPと言っているのではないでしょうか。 終末期において薬剤師ができることは、医師の指示のもと痛みや精神負担軽減の薬剤を調べ、適切なものを最低限供給すること、緊急時への体制を十分に整えること、ご家族のサポートぐらいです。薬局では、ガン末期でのTPN、シリンジポンプやバルーンでの注射薬モルヒネ使用の薬剤を供給してきました。患者の体調にターニングポイントがあること、苦痛のない終末を迎えていただくこと、ご家族へのサポートなどの事例も紹介しながら皆さんと共有したいと思います。 また薬剤師ならではの業務に、お亡くなりになってからの薬剤の回収という業務があります。その時に、看取られたキーパーソンの方と本人の前では言えなかった言葉を吐き出してもらう、そこまでが薬剤師の使命だと思っています。 |
- 主 催:北里大学薬学部生涯学習センター
- 共 催:北里大学薬友会・(公財)日本薬剤師研修センター
- 時 間:各回 午後2時30分~午後5時45分
- 場 所:白金キャンパス 薬学部1号館1501大講義室 (予定)
- 定 員:各回 300名 (定員になり次第、締切いたします。)
- 対 象:本学および他薬系大学の卒業生
- 受講料:各回 2,000円
- 認定単位:各回 日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
申込み方法
現在、国内において新型コロナウィルス(COVID-19)感染が報告されており、感染拡大のリスクを考慮して、今回のセミナーを中止といたします。
皆様のご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 申込締切:
第1回 2020年1月13日(月)*お申込は終了しました
第2回 2020年3月2日(月)*お申込は中止しました
お問合せ先
- 北里大学薬学部生涯学習センター事務局(北里大学薬友会内)
- 〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
- TEL&FAX: 03-3448-8191
- メールアドレス: ph-llc@kitasato-u.ac.jp (ピーエイチ ハイフン エルエルシー@~)