2019年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(中期)のお知らせ
【テーマ】 薬剤師が身につけたい病態知識と服薬指導の実践
日々変化する環境・医療事情において、より高度で専門的な薬物治療に関する知識と、患者さんへ分かりやすく説明できる能力が求められています。そこで、今回の本セミナーでは、薬剤師が活躍する現場で役立つ薬学知識と最前線の乳がん治療や漢方医療に焦点を絞り、各領域で活躍する医師と薬剤師の講師による集中セミナーを開催します。奮ってご参加下さい。
第1回:2019年9月7日(土) 14:30~17:45
テーマ:「医師から学ぶ疾患と治療」
講義内容・講師 |
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講義1:「乳がん治療の最前線」 (14:30~16:00) 講師:五月女 恵一 先生 (北里大学北里研究所病院 乳腺甲状腺外科副部長) 乳がんの罹患率、診断、治療、予後はこの30年で大きく変貌を遂げました。乳房全摘、大小胸筋切除、腋窩リンパ節郭清が標準術式でしたが、乳房温存手術、乳房全摘再建手術が広まり、センチネルリンパ節生検導入にてリンパ節郭清術は30%に減少しました。薬物療法においてはエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、HER2、Ki-67をもとに分類するサブタイプ別の術前療法、術後補助療法、進行再発療法が確立し、様々な内分泌療法と化学療法に加え分子標的治療が用いられています。進行再発乳がんではBRCA1/2遺伝子やMSI検査が可能となり、2019年6月からはがん遺伝子パネル検査も導入されました。家族性乳がんの実態も明かされつつあります。今セミナーではドラスティックに変貌する乳がんの世界を、皆様と共有できたらと思います。 |
講義2:「健康寿命を延ばすために ~ロコモティブシンドロームについて~」 (16:15~17:45) 講師: 金子 博徳 先生 (北里大学北里研究所病院 副院長 整形外科部長) 日本人の『平均寿命』は、世界でもトップクラスの長さを誇ります。その中でも『健康寿命』を延ばすことは本人の生活の質(QOL)を向上するだけでなく、医療費の抑制にも繋がります。健康寿命とは健康で活動的に暮らせる期間を示し、平均寿命から衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いた寿命の事です。 |
第2回:2019年10月5日(土) 14:30~17:45
テーマ:「高齢者における医薬品の適正使用」
講義内容・講師 |
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講義1:「高齢者における薬物動態と医薬品使用時の留意点 -腎機能低下時の薬物投与と薬物相互作用を中心に-」 (14:30~16:00) 講師:大野 能之 先生 (東京大学医学部附属病院 薬剤部) 高齢者は合併疾患のため、多剤併用となることが多々あります。一方で、高齢者では若年者に比べて薬物有害作用の発生が多く、かつ入院の原因となる重症例も多くあります。高齢者で薬物有害作用が増加する要因は複数ありますが、特に加齢変化に基づく薬物感受性の増大と、服用薬剤数の増加が重要な要因です。したがって、高齢者における薬物治療においては、加齢変化を考慮した薬物投与設計や、薬剤数増加に起因する薬物相互作用のマネジメントが重要となります。 |
講義2:「高齢者の医薬品適正使用の指針から考える ~開局薬剤師の多職種連携のポリファーマシーへの取り組み~」 (16:15~17:45) 講師:大木 一正 先生 (クリーン薬局) 高齢者の薬物有害事象増加には、多くの疾患上、機能上、そして社会的な要因が関わりますが、薬物動態/薬力学の加齢変化と多剤服用が二大要因です。多剤服用の中でも害をなすものを特にポリファーマシーと呼び、高齢者の医薬品適正使用の指針でも両者を使い分けています。今回、医療職・介護職・薬剤師が連携するポリファーマシーへの取り組みの重要性について、考え方並びにその具体的な症例を交えて示します。 |
第3回:2019年10月19日(土) 14:30~17:45
テーマ:「漢方薬の理解と服薬指導のポイント」
講義内容・講師 |
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講義1:「漢方医療における服薬指導のポイント」 (14:30~16:00) 講師:髙際 麻奈未 先生 (北里大学東洋医学総合研究所 薬剤部) 漢方薬には患者の疾患・症状に対し、用法・用量や服用温度など適切な服用方法があります。治療効果を最大限に引き出すために、漢方薬だけでなく構成生薬の特徴も考慮する必要があります。では漢方医療において、薬剤師はどのような点に注意をして服薬指導をすればよいでしょうか。今回は疾患別に代表的な処方を取り上げ、漢方薬特有の服薬指導のポイントをお話しいたします。 |
講義2:「歴史から漢方薬を理解する」 (16:15~17:45) 講師:緒方 千秋 先生 (北里大学東洋医学総合研究所 広報・医療相談室) 漢方薬は約2千年前を端に時代や環境に対応し、変化してきた薬剤です。葛根湯は中国漢代に“傷寒”という病に対応するために創方されました。川芎と辛夷を加えた葛根湯加川芎辛夷は日本で生まれ、幕末~明治初期頃に鼻症状に用いられるようになりました。抑肝散のルーツも中国ですが、陳皮と半夏を加えた抑肝散加陳皮半夏は江戸時代から用いられ、適応範囲は時代とともに変化してきました。今回は歴史から漢方薬を紐解いてみましょう。 |
- 主 催:北里大学薬学部生涯学習センター
- 共 催:北里大学薬友会・(公財)日本薬剤師研修センター
- 時 間:各回 午後2時30分~午後5時45分
- 場 所:白金キャンパス 薬学部1号館1501大講義室 (予定)
- 定 員:各回 300名 (定員になり次第、締切いたします。)
- 対 象:本学および他薬系大学の卒業生
- 受講料:各回 2,000円
- 認定単位:各回 日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
申込み方法
お申し込みは終了致しました。
お問合せ先
- 北里大学薬学部生涯学習センター事務局(北里大学薬友会内)
- 〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
- TEL&FAX: 03-3448-8191
- メールアドレス: ph-llc@kitasato-u.ac.jp (ピーエイチ ハイフン エルエルシー@~)