北里大学薬友会

平成26年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(中期)のお知らせ
 【中期テーマ】 地域医療に関わる薬局・薬剤師の取り組みと今後の展望

 薬剤師は、医療の高度化と専門化、そして国民の医療への関心が高まるなか、医療・医薬品に関連した知識や情報を収集することはもちろん、急速な少子高齢化の進行や超高齢化社会等の課題に対して、そのスキルにより、どのような取り組みが出来るでしょうか。今回のセミナーでは、広く普及し始めているがんの分子標的薬に関する知識から、地域医療に関わる薬剤師の役割を考えてみます。また、がん患者の在宅内における緩和ケアにも焦点を当て、具体的な実例を交えて紹介いたします。さらに、これら薬剤師の取り組みが今後の薬局機能、薬剤師の職責にどのような影響を与えるか考えてみます。本セミナーでは、各分野の専門家である講師が必要な基礎知識から応用まで概説いたします。

第1回:平成26年9月6日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「がんプロフェッショナル 地域連携」

講義内容・講師
講義1: 進行肺がんに対する薬物療法の最前線(14:30~16:00)
 講師: 佐々木 治一郎 先生
(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 横断的医療領域開発部門 教授
北里大学病院集学的がん診療センター長 )
 

日本においても世界においても、がんによる部位別死亡の第1位は肺がんです。現在、進行肺がんは根治不能であり、薬物療法の目的は延命と日常生活の維持・向上です。近年、次々とdriver oncogeneが発見され、それらを標的とする分子標的治療薬が開発・導入されました。その結果、進行肺がんの日常診療は大きく変化しました。標的分子を持つ患者の予後は倍増し、副作用のプロファイルは全く違うものになりました。治療にかかるコストは上昇し、治療選択肢が増えたことによる患者の迷いも大きくなりました。このような診療の変化は、肺がんに限らず現在のがん薬物療法に共通しています。ここでは、進行肺がんに対する薬物療法の現状と現在臨床開発中である近未来の治療を紹介し、10年後のがん薬物療法について考察いたします。

講義2: がん医療における地域連携の重要性(16:15~17:45)
 講師: 佐々木 治一郎 先生
(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 横断的医療領域開発部門 教授
北里大学病院集学的がん診療センター長 )
 

がん対策基本法の制定、外来化学療法の定着、分子標的薬を含む内服抗腫瘍剤の増加など複数の要因が重なり、現在の日本でのがん薬物療法の主な場は自宅です。自宅で日常生活を送りながらがん治療を行う、そのことは患者のQOLを高め「自分らしい生活」に寄与するに違いありません。しかし、同時に在宅でのがん治療は、服薬アドヒアランスや毒性マネージメントにおいてリスクを高めることがあります。もはや、現在のがん薬物療法は病院単体で行う時代ではなく、地域包括ケアの一環として行うべきです。ここでは、がん診療に関わる地域連携の重要性を解説し、今後のがん診療連携をどのように行っていくか実例を示しながら解説いたします。

第2回:平成26年10月18日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「薬剤師業務に関わる緩和ケア」

講義内容・講師
講義1: 精神腫瘍学概論(14:30~16:00)
 講師: 中野 智仁 先生 (北里大学北里研究所病院 精神科部長)
 

1981年に日本人の死因の首位に立った悪性新生物=がんは、我が国最大の健康問題・保健衛生政策上の課題であり続けています。積極的抗がん治療の開発やがん検診の啓蒙と共に、近年重視されているのが早期からの緩和医療の導入です。現在、我が国では「緩和ケアチーム」の診療加算に薬剤師の参加が必須とされるなど、薬剤師業務との関わりが増加している領域でもあります。この講演では、同様に緩和ケアチームの構成要素である精神科医が、がん臨床に関わる中で確立した比較的新しい学際領域である「精神腫瘍学」について概説します。

講義2: がん在宅患者と薬剤師の関わり~緩和ケアを中心に~(16:15~17:45)
 講師: 轡 基治 先生 (うえまつ調剤薬局 管理薬剤師、緩和医療薬学会理事)
 

がん診療の進展に伴い、外来治療を含めた自宅療養中の患者への緩和ケアの普及が望まれており、薬物治療が必要とされる場合には保険薬局と薬剤師の有効な関与が欠かせません。また、患者の抱える問題や苦痛の解決がどのような意味をもつのか包括的な視点に立ったうえでの仕事が求められます。在宅緩和ケアの現場で実施される薬物治療を紹介しながら薬局薬剤師に必要な緩和ケアの知識と薬学的アセスメントを考えます。

第3回:平成26年11月29日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「薬剤師業務の今後の展望」

講義内容・講師
講義1: 医薬品のレギュレーションと薬剤師の関わり (14:30~16:00)
 講師: 成川 衛 先生 (北里大学薬学部 医薬品開発学 准教授)
 

医薬品は人々の生命・健康に大きな影響を与えるものであり、その取扱いに関して様々な規制が敷かれています。副作用の報告や副作用被害救済に関する制度、今秋から施行される改正薬事法(医薬品医療機器等法)の概要を含め、薬剤師の関わりの観点から、医薬品規制を巡る最新の動きを分かりやすく解説します。また、後発品の使用促進、保険外併用療養費制度など、医療保険制度に絡んだ話題も取り上げ、これらを踏まえて今後の薬剤師業務について考えてみたいと思います。

講義2: 拡大・進化する薬剤師の役割・・・着実に、大胆に(16:15~17:45)
 講師: 鈴木 順子 先生 (北里大学薬学部 社会薬学部門 教授)
 

平成26年度保険改定に同期するかのように、地域の薬剤師を囲む状況には大きな変化がありました。1つには言うまでもなく医療部面での責務の拡大であり、地域の療養者に高質で密度の高い医療を提供するための業務体系の高度化です。また2つ目には地域保健への目配り責務が重要度を増し、単に保険業務を規定通り行うだけでは期待に応えられなくなっています。これらを俯瞰して、今後の薬局機能、薬剤師の職責についてご一緒に考えたいと思います。

  1. 主 催: 北里大学薬学部生涯学習センター
  2. 共 催: 北里大学薬友会・(公財)日本薬剤師研修センター
  3. 後 援: がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン
          「高度がん医療開発を先導する専門家の育成」(第1回)
  4. 時 間: 各回 午後2時30分~午後5時45分
  5. 場 所: 白金キャンパス 1号館1501大講義室
  6. 定 員: 各回 300名
         (当日参加も可能ですが、定員になり次第締切りますので、なるべく事前にお申込みください。)
  7. 対 象: 本学および他薬系大学の卒業生
  8. 受講料: 各回 2,000円
  9. 認定単位:日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
  10. 申込締切:第1回 平成26年9月1日(月)
           第2回 平成26年10月13日(月)
           第3回 平成26年11月24日(月)

申込方法

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