北里大学薬友会

平成25年度北里大学薬学部生涯学習セミナー(中期)のお知らせ
 【中期テーマ】 知っておきたい生活習慣病の知識と服薬指導の実践

 生活習慣病は、がん、脳血管疾患、心疾患をはじめとする多くの疾患の危険因子と言われています。また、自覚症状が表に現れにくい生活習慣病の治療は、良好なアドヒアランスを維持するのは容易ではありません。患者さんと生活習慣病の特徴や継続的にお薬を飲む重要性についてうまくお話しするためには、食生活をはじめとする生活習慣の改善方法や最新の薬物治療に関する薬理学的知見をしっかりと理解する必要があります。

 そこで本セミナーでは、高血圧、呼吸器疾患、糖尿病を専門とする先生方に、在宅を含めた臨床現場で必要な基礎知識を概説して頂きます。是非、生活習慣病の学習にご活用ください。

第1回  日 程:平成25年9月7日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「高血圧」

講義内容・講師
講義1:高血圧治療の最前線
 講師: 赤石 誠先生 (北里大学北里研究所病院副院長 循環器内科部長)
 

 高血圧治療ガイドライン2009にも記載されていますが、高血圧治療の目的は、高血圧による心血管病の発症、進展、再発を抑制して、死亡を減少させることです。つまり血圧値がいくつであるから、血圧の治療をするという概念は、もはや高血圧治療には存在しないのです。
 高血圧は、血圧のみならず、遺伝、環境、血行動態、内分泌・代謝異常などの多くの要因を介して、全身の臓器に障害をきたします。よって、単に降圧薬により血圧を低下させるだけでなく、食事療法や運動療法を含む生活習慣の是正、糖・脂質代謝異常などに対する理解と管理、すでに存在する臓器障害に対する対策も重要になってきます。今回のセミナーでは、高血圧治療の目的を踏まえながら、どのように降圧薬を処方するかということを中心に解説します。

講義2:高血圧患者への服薬指導
 講師:高橋 賢成先生 (東京女子医科大学病院 薬剤部副部長)
 

 高血圧は生活習慣病の一つに位置づけられ、最終的な治療目的は脳卒中や心不全などの二次的疾患を予防し、生命予後を改善することにあります。治療の基本は生活習慣の改善ですが、目標値が達成でない場合に薬物治療が必要となります。高血圧治療はカルシウム拮抗薬やレニン・アンジオテンシン系抑制薬が中心的な役割を担っています。
 今回のテーマとして、治療薬のエビデンスを踏まえた薬の特徴、食生活を含めた自己管理、アドヒアランス、血圧の日内変動等を考慮した服薬指導を遂行するため、薬剤師が患者に伝えるべきことに何が必要か考えていきます。

第2回:平成25年10月19日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「呼吸器疾患」

講義内容・講師
講義1:COPD - 薬物治療の進歩
 講師:鈴木 幸男先生 (北里大学薬学部生体制御学・北里大学北里研究所病院副院長 呼吸器内科部長)
 

 わが国の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者数は約530万人と推定されていますが、実際に診断されている患者は約22万人に過ぎず、多くは未治療です。COPDは従来、治療困難な疾患と認識されていましたが、近年の薬物治療薬の開発により、呼吸困難やQOL、生命予後の改善がもたらされるようになってきました。治療薬剤の選択に関しては、患者の重症度に応じて段階的に強化し、その際、呼吸機能検査で薬物の治療反応性を評価し、同時に副作用に注意しながら治療することが、わが国のガイドラインで推奨されています。本セミナーでは、近年、急速に進歩してきたCOPDの薬物治療について概説します。

講義2:薬剤師の在宅医療・在宅介護の現状について
 講師:大木 一正先生 (クリーン薬局)
 

 薬剤師の訪問活動は、医師の往診と同じように医療保険の概念で実施されていたと記憶しています。2000年より介護保険がスタートして、薬剤師の訪問活動も医療職との在宅医療の考え方から、医療職の他に介護職などの他職種との在宅介護の動きと連携に変化してきました。
 現在の薬剤師の訪問活動の有用性と現状の事例を整理して、いろいろな気づきを紹介したいと思います。

第3回:平成25年11月30日(土) 午後2時30分~午後5時45分
テーマ:「糖尿病」

講義内容・講師
講義1:糖尿病治療の最前線
 講師:山田 悟先生 (北里大学北里研究所病院糖尿病センター長)
 

 今、糖尿病の治療法には様々な変革が生じています。食事療法においては、カロリー制限食に加え、糖質制限食をはじめとする様々な治療オプションが推奨されるようになりました。運動療法においても、有酸素運動やレジスタンス運動(筋トレ)に加え、身体活動増加の重要性が言われています。薬物療法ではインクレチン関連薬に加えSGLT2阻害薬のような新規薬剤が登場してきております。本講演ではこれらの変革を俯瞰したいと思っています。

講義2:糖尿病患者への地域の共同薬物治療管理と療養支援
 講師:篠原 久仁子先生 (フローラ薬局)
 

 糖尿病患者数が増加し、高齢化する一方、糖尿病専門医は約4000人と少ないため、合併症とその治療薬の服薬管理と医療費の増大が社会問題となっています。糖尿病の重症化を防ぐため、患者を中心としたチーム医療が成果をあげてきました。しかし、糖尿病の療養は長期に渡るため、これからの薬剤師は、入院のみならず外来通院、在宅での切れ目のない地域の共同薬物治療管理(CDTM)と療養支援の役割が求められています。

  1. 主 催: 北里大学薬学部生涯学習センター
  2. 共 催: 北里大学薬友会・(財)日本薬剤師研修センター
  3. 時 間: 各回 午後2時30分~午後5時45分
  4. 場 所: 各回 白金キャンパス 1号館1501大講義室
  5. 定 員: 各回とも300名
         (当日参加も可能ですが、定員になり次第締切りますので、なるべく事前にお申込みください。)
  6. 対 象: 本学および他薬系大学の卒業生
  7. 受講料: 各回とも2,000円
  8. 認定単位:各回 日本薬剤師研修センター認定研修 2単位
  9. 申込締切:第1回 平成25年9月2日(月)
           第2回 平成25年10月14日(月)
           第3回 平成25年11月25日(月)

申込方法

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